深く刻まれたボタン留め、ゆったりと巻き込むアーム、風格を感じさせるシルエット。チェスターフィールドソファは、英国クラシックを語るうえで欠かせない家具のひとつです。長く親しまれてきたその姿には、歴史とともに、いくつもの物語が重なっています。

起源にまつわる、チェスターフィールド伯爵の伝承
チェスターフィールドソファの起源としてよく語られるのが、18世紀の第4代チェスターフィールド伯爵、フィリップ・スタンホープにまつわる物語です。紳士が姿勢よく座り、衣服にしわを寄せずに過ごせる家具を注文したことが始まり、と伝えられています。
ただし、この注文が現在のチェスターフィールドソファの誕生につながったと裏づける確かな記録は確認されていません。魅力的な逸話ではありますが、起源を断定する史実とは分けて受け止めることが大切です。
英国の室内文化とともに受け継がれた姿
チェスターフィールドというスタイルは、18世紀末にその源流があると紹介され、ヴィクトリア朝にも人気が続いたとされています。一度の発明で現在の姿が完成したというより、時代ごとの張りの技術や好みのなかで受け継がれてきた家具として見ると、その奥行きが感じられます。
書斎や応接空間を思わせる落ち着いた佇まいは、いまも英国調のインテリアを楽しむ手がかりになります。
チェスターフィールドらしさをつくる意匠

背もたれとアームが描く水平なライン
伝統的なチェスターフィールドの特徴として挙げられるのが、背もたれとアームの高さを揃えた構成です。横へと続く輪郭が、端正で安定感のある印象を生み出します。
ボタン留めが生む、張地の陰影
深いボタン留めも、このスタイルを象徴する意匠です。くぼみとふくらみの連なりが光を受け、革や布の表情を豊かに見せます。色だけではなく、張地の艶や毛並みによっても印象が変わります。
ロールアームと細部の表情
巻き込むようなロールアームや、輪郭に沿う鋲飾りを備えたモデルも親しまれています。ただし、すべての製品が同じ仕様ではありません。脚の形、アームの厚み、ボタン留めの配置などを比べると、一台ごとの個性が見えてきます。
本革だけではない、現代の楽しみ方

チェスターフィールドと聞くと、深いブラウンの革張りを思い浮かべる方も多いでしょう。一方で、現代ではファブリックなど多様な張地でも、その意匠を楽しめます。
重厚な雰囲気に仕立てるなら濃色の木製家具を、軽やかに取り入れるなら明るい壁やラグを合わせるなど、周囲の素材や色によって表情は変わります。歴史あるスタイルを、自分の暮らしに合わせて取り入れることも、この家具の魅力です。
歴史を知り、お気に入りの一台を選ぶ
伝承に彩られた起源と、長く受け継がれてきた意匠。チェスターフィールドソファの魅力は、古いものをそのまま再現することだけではなく、その佇まいを日々の暮らしで楽しめることにあります。
ユーロマーケットでは、英国・ヨーロッパ調のソファやチェアをご紹介しています。形、サイズ、張地の違いを見比べながら、長く眺めていたくなる一台をお選びください。
参考資料
起源には諸説があるため、本ページでは伝承と確認できる説明を区別しています。